2011年3月3日木曜日

先端技術館@TEPIA、新規展示を開始 パーソナルモビリティも

機械産業記念事業財団が運営する、科学技術系展示施設の先端技術館@TEPIA(東京都港区)は5日、2011年2月27日まで開催される新展示に関しての発表会を実施した。

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5つの領域の中、合計13の技術分野の製品を展示しており、65点が新展示となる(昨年からのものを含めると合計103点)。領域「都市とモビリティ」の中の、「モビリティ」の目玉展示だったのが、現在開発中のパーソナルモビリティだ。そのほか、ロボットやAR(Augmented Reali:拡張現実)機器なども新たな展示がなされた。

モビリティの新展示製品は、独立行政法人産業総合研究所の知能システム研究部門で開発された、「小型?軽量パーソナルモビリティ」の「PMP-2改」だ。同研究所で2004年に開発された「PMP-2」をベースに大幅な改良を施したものである。『セグウェイ』やトヨタの『Winglet』と同じ平行2輪立ち乗り型パーソナルモビリティで、左右2輪の上にあるステップに人が立って乗り、体重移動で前進後進するもの。前のめりになると前進し、後にのけぞると後進するという具合だ。

ステアリングはセグウェイやWingletがT字バー型なのに対し、PMP-2改は2本のスティックが立つのが外見上の大きな差異。左右への方向転換は、右スティック上端の小型ジョイスティックを左右に倒すことで、その場での左右への旋回(超信地旋回)を行なう。実際に搭乗してみたのだが、同方式での左右への旋回は、セグウェイやWingletよりも扱いやすい感じだ。

機能面での特徴は、エアサスペンション(ダンパー)を備えており、段差の踏破能力を大きく高めている点。国内の交差点などでの歩道と車道の段差は、平均して4 - 5cmあるそうだが、太めの屋外用タイヤを付けると乗り越えられるそうだ(写真は細めの屋内用)。もちろん、路面の凹凸を吸収するので、搭乗感も向上しているという。

また日本の法規では、平行2輪立ち乗り型パーソナルモビリティの一般道での使用が法規制上許可されていない。その理由のひとつが安全性なのだが、その点を改善するため、PMP-2改ではレーザーレンジセンサ(レーザー測距機)が搭載された。これにより、衝突する可能性がある方向に進んでいる場合は自動的に停止する。

そのほか、乗降を簡便にするPMP-2改単独で倒立する無人倒立機能や、傍らにいるユーザーのハンドル操作によって荷物を運搬させられる荷物運搬機能、センサを用いた人認識により荷物を載せての人の自動追従機能なども装備。

そのほかモビリティ分野では、電動ハイブリッド自転車『エネループバイク』(三洋電機コンシューマエレクトロニクス)、エコ運転ドライブシミュレータの「UC-win/Road ECO ドライブ?シミュレータ」(フォーラムエイト)、VICSによる渋滞情報をカーナビで体験できる「VICS ドライブ?シミュレーター」(道路交通情報通信システムセンター)などが新展示だった。

ロボット系の製品は、食事支援ロボット「MARo(マーロ)」(岐阜大学工学部矢野研究室)、倒壊家屋などのがれきの下を探査するための「能動スコープカメラ」(東北大学田所研究室およびNPO法人国際レスキューシステム研究機構)などがあった。また、昨年から引き続いてホーム介護ロボット「百合菜(ユリナ)」(日本ロジックマシン)も展示されたが、昨年の発表会の時とは異なり、ベッドを備えた形にバージョンアップしていた。

また、ネクスト?バーチャルリアリティとして、昨年あたりから急速に製品化が進んでいるARは、今回初めて取り上げられた技術分野。

中でも注目は、近未来SF作品のガジェットとして通用しそうな「メガネ型網膜走査ディスプレイ」(ブラザー工業)。目に入れても安全な明るさの光を網膜に当て、その光を高速に動かす残像効果を利用して映像を投影するという製品だ。画面サイズは、1m先で16インチ相当。現実の光景の中にCGが浮かび上がるAR製品で、複雑な機械の操作や設定、修理などでも、投影映像に従って作業できるというわけだ。現在の展示品はモックアップだが、2010年中に予定されている販売に合わせて、実機を展示するという。

《レスポンス デイビー日高》

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引用元:エミルクロニクル(Econline) 総合サイト

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